【LIVE REPORT】零[Hz]、LIVE TOUR 2025『Nebul∀』SAGA 1が完結。「この物語を全員で終わらせていきたいと思います」
ZEROHZ LIVE TOUR 2025『Nebul∀』SAGA1 FINAL ~fetus~
7月23日(水) Zepp DiverCity
零[Hz]がおくる、壮大な物語といえるワンマンツアー『Nebul∀』。5月9日、『~ZilemmA~』と題したZepp Shinjuku公演を皮切りに全22公演を行ってきたSAGA 1は、『~fetus~』と名付けられた7月23日のZepp DiverCity公演にて完結した。今回のワンマンツアーはSAGA 1,SAGA 2と二段階に期間を区切って行われる大規模ツアーであるが、彼らがこういった手段をとることは今回が初めてではない。ただし、これまでとはどこか違う深みを感じられるのは、この『Nebul∀』というワンマンツアーの秀逸なストーリー展開があってこそ。そしてそれを実行できる、零[Hz]の実力が伴なっているからこそ成せるワザでもあるのだ。
SEに乗せて1人ずつ登場したメンバーは、まるで生まれ変わりを意味するかのような白を基調とした新衣装を纏って登場し、初っ端から初披露の新曲『fetus』を投下。冒頭からのサプライズ続きに興奮状態の場内をよそに、ステージにはロースモークが立ち込めて、みるみるうちに厳粛な空気に包まれていった。繊細に楽曲を披露していく中で、巨大なLEDスクリーンの映し出された歌詞の中でも強烈に目に飛び込んできたのは“生きて”というワード。内面に込めた熱を感じていたのも束の間、ROY(Vo)は「俺たちとこれからも一緒に歌い、奏でて行きましょう」と優し気に言葉を添えた。こうしたオープニングの一連の流れは、このライブの目的はツアーファイナルならではの“集大成”というだけに留まらないということを暗に訴えかけていたようにも感じられた。もっと具体的に言うなれば、10月23日に控えている渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)へ向かって行くSAGA 2に向けた挑戦の火ぶたは既に切られていたということ。つまりこれは、“終わりにして始まり”だったのだ。
そして、『Changing Mrs.SATELLITE』からはレーザー演出が派手に場内を彩り、フロアにもたちまちモッシュやヘッドバンギングが起きてアグレッシヴモードへとシフト。躍動感を煽るデジタルサウンドと、グルーヴを増し続けるバンドサウンドとのハイブリッドかつ孤高なロックといった武器を余すことなく見せつけ、『惡鬼招雷』や『Aim for HEAVEN』で立て続けに垣間見られたメンバー同士の息の合ったステージングと、それによってオーディエンスを扇動していく様子は“チームゼロヘルツ”を象徴する光景ともいえる。
ミラーボールが回るファンタジックな転換を経て続いたのは、聴かせることに重きを置いた、メッセージ性を強調したセクション。『TRAUM』では、〈その一度見た夢 叶えに行こう〉のフレーズに合わせてTEIKA(Ba)が挙をあげるような仕草を見せ、『太陽はただ僕達を照らしている訳じゃない』では楽器隊のソロ回しも決まり、ROYが四方八方へ歩みよりながら丁寧に届けていく。さらに、ロマンチックな中にそこはかとなく頼もしさが宿る『君に降る夜に。』や、Leo(Gt)のアコースティックギターとRio(Gt)とのアンサンブルが美しさを添えたバラード『Dear』を、ROYは圧巻の歌唱力を持って歌い上げた。
「『Nebul∀』はSAGA 1,SAGA 2と、物語を前編・後編で区切るようにやらせてもらっていて、その前編・SAGA 1 が今日で終わりを迎えようとしています。ただ、『Nebul∀』ツアー自体はまだまだ終わりではありませんので。Zepp DiverCityは約3年ぶりの公演となります。3年前から一緒にいてくれたやつも、この3年間で僕たちを知ってくれたやつも、ここにいる全員を最後まで愛したいと思うし、この物語を全員で終わらせていきたいと思います」――ROY
良いスタートをきるには、最高の形で終わらせることが専決。ROYのMCが士気を高めてラストスパートへ突入すると、Leoの高速タッピングが冴えわたった『skeles me dop HEADz』から勢いづき、ポップさ引き立つ『enigma』ではRioが率先して目が覚めるビートを叩き出すRYOGA(Dr)やTEIKAにアイコンタクトを交わす。中でも、逆境や苦難に負けずに〈僕らは未来を生きたい〉と堂々と現状のバンドの姿勢を主張した『Mx.Clone』は、実に清々しかった。ツアー中に生まれたという新曲『Mx.Clone』の圧倒的なパワーは、「ツアーで培ってきたものをここに吐き出そうぜ!」というROYの意気込みを一層際立てる。そして、会場が一丸となってアイデンティティを主張する『POSE』を通し、『ZilemmA』で本編を締めくくるという場面でROYは、「零[Hz]の最高のライブをはじめようぜ!」と叫んだのだ。ここで頭によぎったのは、“ZilemmA”に関して正式な綴りとしては“dilemma”となるところを、あえてZからAを強調するように変換しているところからも“終わりから始まりへ”と解釈できるということ。それに加えて、このツアーの初日に『ZilemmA』を1曲目に披露したときのことを思い返すと、どこか不明瞭だったこの曲の意図が至極ポジティブなものであるように受け取れたことが『Nebul∀』SAGA 1のなによりの成果だったと言えよう。
アンコールに応えて登場したメンバーは、ツアーを振り返ったトークを展開。その中でROYは、今回の『Nebul∀』ツアーでは今までとは違う“変化”がほしかったと語った。その一つが、ツアーと並行した楽曲制作だったという。
「『ZilemmA』を引っ提げてツアーを回っていたんですけど、ツアー中に『Mx.Clone』という新曲が生まれたり、ツアー中に思ったこととか感じたこととか、これからこう歌っていきたいなとかこう伝えていきたいなっていうことを咀嚼して、落とし込んで『fetus』を作ったり。ツアー中に制作があってレコーディングもしてっていう大変なこともあったんですけど、楽しみに待ってくれている“チームゼロヘルツ”のことを考えると頑張ってこれました。皆さんのおかげです、どうもありがとう! なので、これからも零[Hz]と“チームゼロヘルツ”みんなで素敵なライブを続けていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!」――ROY
こうして『AXIZ』をはじめ全5曲を披露し、3年前のZepp DiverCityでもオーラスを飾っていた『RENDEZVOUS』が、この日もラストに披露された。銀テープが宙を舞い、なんとも晴れやかなエンディング。それは、コロナ禍に同会場へ残した置き土産をライブとしてあるべき最高の景色で塗り替えていくようで、このように一つ一つ過去を更新していくことが零[Hz]にとって紛れもないエネルギーとなっていく予感がした。実際に、笑顔で歌い締めたROYは「また新しい物語、SAGA 2をみんなと一緒に心の底から楽しんでやりましょう、やれますかオマエら! 再会の約束を交わそうぜ! 渋谷公会堂を目指してやろうぜ!」と叫び、確実に9月から始まるSAGA 2へと駒を進めたのだった。
「これからも零[Hz]を大きくしていきたい」という趣旨のもとに『Nebul∀』と名付けたツアーで繰り広げる物語は、第二章へと繋がっていく。果たして、渋谷公会堂で待ち構える『DYSTOPIA』という最終章で零[Hz]が見せるものとは……? ただ一つ、確実に言えることがあるとするならば、零[Hz]が抱くROCKスピリッツは人々の心を揺さぶる力があり、それは必ずバンドを大きくしていきたいというヴィジョンを実現する力を秘めているということだ。
Photo ◎ ゆうと。
Report ◎ 平井綾子
-SET LIST-
1. fetus(新曲)
2. Changing Mrs.SATELLITE
3. 惡鬼招雷
4. Aim for HEAVEN
5. TRAUM
6. 太陽はただ僕達を照らしている訳じゃない
7. 君に降る夜に。
8. Dear
9. skeles me dop HEADz
10. enigma
11. Mx.Clone
12. POSE
13. ZilemmA
[ENCORE]
1. AXIZ
2. HERO
3. 6ad6i6le
4. BAKEMONO carnival
5. RENDEZVOUS