【LIVEREPORT】東京花嫁、ヴォーカル・黒神神威の生誕ワンマン「黒神家の食卓」で見せた、11月6日にSpotify O-WESTにて控える2周年ワンマンへの布石。「後悔させないので、最後まで僕を選んでください」
東京花嫁 黒神神威 生誕ワンマン「黒神家の食卓」
2025年7月3日(木)渋谷WWW
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東京花嫁が、7月3日に渋谷WWWにてワンマンライヴを開催した。この日は「黒神家の食卓」と題したヴォーカル・黒神神威の生誕ワンマンということもあり、神威が敬愛するゆーり。(イロクイ。)とレン(レイヴ)のヴォーカリスト2名がゲストで出演し、“生誕ワンマン”ならではのスペシャルな公演となった。さらに、渋谷WWWは東京花嫁にとってワンマンライヴを行う会場として目標の1つだったこともあり、バンドにとっては11月6月に控えるSpotify O-WESTでの2周年記念ワンマンへ向けて、大きなステップの意味も成していたのである。
SEに乗せて登場したメンバーは、この日初お披露目となる新衣装を纏っていた。予想だにしていなかったサプライズにフロアは歓喜に包まれ、神威が放つ「君を奪いに来ました」という大胆不敵なお馴染みのセリフが合図となり、ライヴは『マリアージュ』からスタート。この曲がライヴで披露される際、初めと終わりに「いただきます / ごちそうさまでした」という挨拶が添えられているところをみると、本公演のタイトルにある“食卓”に準えた粋な選曲だ。しかしそんな理屈は抜きにして、一糸乱れぬ振り付けとダイナミックなサウンドで飾った幕開けの情景は実に痛快。「素敵なディナーに誘ってあげるからさ!」と神威が改めて意気込みを露わにして続いた『信者ノ行進』でも勢いはそのままに、『愛包丁』ではRi-kunのメタルさながらのギターソロやみおのベースソロといったバンドサウンドの強靭さも織り交ぜながら、展開豊かな楽曲のクセの強さが偏愛による中毒性を描き出していくのを感じられた。さらに『TOXIC×TOXIC』ではヘッドバンキングも起き、迫力も増して圧倒的な空間を作り上げていく。
「たくさんの人に集まっていただいて、本当に嬉しいです。僕の生誕ということで、いろいろ催しを用意していまして。僕の大好きなヴォーカルの方をお呼びして一緒に歌っていきたいと思っているので、最後まで楽しんでいってください!」――黒神神威
ここで、1人目のゲストであるレン(レイヴ)をステージへと呼び込んだ。神威は「ヴォーカルの在り方や酒の浴び方(笑)を教わった」とレンを紹介したのに対して、レンは神威のことを「かわいい九州の後輩」と話し、しばし同郷同士ならではの和気藹々とした空気が流れていた。こうして披露されたのは、実際に神威自身が九州時代に聴いていたというレイヴの『SETSUDAN』と『純情ビッチ』。神威は「自分がかっこいいと思うものをみんなにも教えたい」と気持ちを吐露する場面もあったが、自らが“かっこいい”と思う対象であるレンと共に歌う彼の姿からは、神威なりのヴィジュアル系に対する美学をステージへ反映するポリシーのようなものを感じることもできた。そして、ヴォーカル2人がお互いにグッドサインを交わして盛り上げた一幕を経て、間髪入れずに突入した『カミサマサマ』では、“大好き”というフレーズに晴夜(Gt)が神威にキスを迫るシーンも。後のMCで晴夜は「ギター持ちながらの愛情表現はキスしかない!」と話していた通り、メンバー同士のハートフルな様子が見られるのも、生誕ワンマンという特別公演といったところだろう。
しかし空気は一変、『「秘密」』のようにせつない歌ものをじっくりと聴かせると、次に披露されたのは、なんと新曲の『神煙-shisha-』。ちなみに、どうやら“シーシャ”は神威のマイブームらしく、この曲の着想も興味深いところ。ここまで対人に対する“愛情”に重きを置いた楽曲が続いていたが、次に披露した『魔法少女は壊れない』こそ、ヴィジュアル系というカルチャーに対する愛情が根幹にあるからこそ生まれた楽曲でもある。そこへ“魔法少女”という斬新な発想を掛け合わせるところに、バンドのブレーンである神威の力量が発揮されているのは明確だが、曲の冒頭にサンプリングとして使われている呪文に合わせて皆で踊る情景を見るからに、それをバンド全体で形作っていくところに東京花嫁のスキルフルさを感じずにはいられない。
そして、2人目のゲストであるゆーり(イロクイ。)が、「妄想ランデヴー」時の神威の衣装を着て登場。神威は「歌い方はゆーりさんをオマージュしているところがある」と話し、九州時代にみおと前身バンドを組む際に(オーディションとして)カラオケで歌ったのもイロクイ。の曲だったという、リスペクトが感じられるエピソードも飛び出した。イロクイ。の『Cinderella』と『摩天楼の雨男』を披露すると、ゆーりが先導する形でしっかりとフロアのノリまでカバーされていた。早くも終盤に差し掛かると、『脳内感染オーバードーズ』で会場全体のアグレッシヴ具合に拍車がかかり、『6ix6ix6ix』ではキラのドラムソロも映えて、メンバーの個性もふんだんに発揮していった。始終、“東京花嫁ホリック”とも言うべき観客を惹き付ける言動や曲世界、そこにまつわるパフォーマンスは彼らならではの強みであることを痛感し、それを一際強く感じられたのがラストの『妄想ランデヴー』。「今だけは俺らと本命になろうか!」と一切パワーダウンする様子を見せずに、本編を駆け抜けていった。
アンコールでは、神威の誕生日を祝うために“Happy Birthday to You”を合唱し、メンバーからはギターと教則本がプレゼントされた。最後は再びゆーりとレンが登場して、『愛が狂う。』でエンディングを迎えた。何度も何度も煽りパートを繰り返し、ヴォーカル陣が手持ちのCO2を噴射しながらいろんなノリで掛け合いを起こし、白熱すること30分弱。思えば、こういった衝動的なシーンも往年のヴィジュアル系のライヴではよくあったものだと懐かしさを感じながら迎えた最後には、「最高の誕生日になりました!」と満足げな神威の笑顔を見ることができた。そして締めくくりには、2周年を迎える11月6日のSpotify O-WEST公演へ向けて「後悔させないので、最後まで僕を選んでください」と告げた。終演後には、この日初披露された新曲『神煙-Shisha-』だけでなく、新曲「愛憎ループ」がそれぞれ配信リリースされることを発表。さらに9月2日には池袋BlackHoleにてコンセプトワンマン「黒色打掛」の開催が決定し、一瞬画面に映った黒い衣装と血のりメイクのメンバーの姿には悲鳴にも似た歓声が起こっていた。“貴女の人生に花を添える”というコンセプトにもあるように、彼らはこれからも花嫁・花婿(※ファン)の人生に彩りを与えていくはずだ。
Photo:インテツ
Report:平井 綾子
-SET LIST-
SE
1.マリアージュ
2.信者ノ行進
3.愛包丁
4.TOXIC×TOXIC
mc
5. SETSUDAN(レイヴ cover / with レン)
6.純情ビッチ(レイヴ cover / with レン)
7.カミサマサマ
8.「秘密」
9.神煙-Shisha-
10.魔法少女は壊れない
mc
11.Cinderella(イロクイ。cover / with ゆーり)
12.摩天楼の雨男(イロクイ。cover / with ゆーり)
13.脳内感染オーバードーズ
14.6ix6ix6ix
15.妄想ランデヴー
アンコール
16.愛が狂う。