4度の特攻から生還した男が「刑事」として生きた激動の戦後
太平洋戦争の最中、十代半ばで海軍の搭乗員養成機関である予科練を志願した一人の若者がいた。飛行機の操縦を覚え、いざ敵機を戦わんと戦場に出た途端、特攻隊員に指名され、4度出撃するが、一度も敵艦に遭遇することなく、敗戦を迎える。まだ19歳の、飛行機のことしか知らない若者は、身一つで焦土と化して大混乱の社会に放り出されてしまう。ゼロからの人生のリスタートに、彼は刑事として犯罪捜査に生涯を懸ける道を選んだ。あれから73年、92歳となった男は、この平成の世に何を思うのか。